1、小児の齲蝕多発傾向について
私も地域の1歳6か月検診、3歳児検診の歯科担当医として、また中学校校医として今まで30年ほど検診を行ってまいりました。
その傾向としましては、1歳6か月検診では、1本でも初期齲蝕が見られる小児は、3パーセント以下程度にまで少なくなっております。3歳児では、ぐっと増えますが1割未満です。
ましてや、多くの虫歯がある小児は、かなり限られてきております。
当院にも、齲蝕多発傾向の小児が来院されますが、その小児は、ダラダラと甘いものを食べる
また、30分おきくらいに飴のようなものを食べるという傾向がみられると申しますか、
全部そうだと言っても間違いないくらいです。
さて、その小児の治療方針ですが、先ずは保護者に、おやつをあげるなら
時間を3時とかに決めて、1度に夕飯まで持つ程度にあげてくださいと説明します。
そして、昔は食べたら歯を磨こうだったのですが、今では食べた最後にはキシリトールガムなどをあげます。
小児では、ガムでは喉を詰まらせるという事故もあり得ますので
私が、オリオン社と開発しましたキシリブルーベリータブレットを1錠または半分に割って
食べさせるのも良いと思います。
この効能は、唾液をだして甘いものを食べた後の酸性化した歯の表面または口腔内を中和することです。またキシリトールは虫歯抑制効果があると実証されております。
ショ糖が分解する過程で酸性化したのを弱アルカリ性の唾液で中和することです。
また、齲蝕多発傾向者の治療としましては、先ずは、サホライドなどの齲蝕進行抑制剤の歯面への塗布、シーラントなどのフッ素徐放性の薬剤塗布、ブラッシング指導などです。
乳歯というのは、永久歯に比べて歯が弱くて脆い、また歯の中の神経まで近いので
積極的に歯を削ることは致しません。
これは、齲蝕多発傾向者の場合で乳歯の場合、非常に短い期間(半年以内)のうちに
2次カリエス(詰め物と歯の間に新たな虫歯が発生すること)を起こすことが良くあるからです。
歯髄炎または根尖性歯周炎を起こしていて、痛みがある場合に、その炎症、膿などを開放するために歯を削ることはありますが、その場合は、局所麻酔が必要ないか、または効かないことが、ほとんどなので、麻酔を打つこと自体が、滅多にありません。
2、局所麻酔の副作用について
麻酔薬の副作用で、特に注意するものとして、麻酔薬によるアナフィラキシーショックがあります。
最近、いろんなものによるアレルギーが報告されておりますが、
局所麻酔薬によるアナフィラキシーショックは、非常に稀なケースです。
局所麻酔薬のどの成分が、アレルギーを起こしやすいか?というのも既に研究されていまして
麻酔薬の中の防腐剤が、その原因であることが多いとされています。
世間に広く出回っている有名な局所麻酔薬には、防腐剤が含まれていますが、
防腐剤を含んでいない局所麻酔薬もあります。
ただ、消費期限が防腐剤を含んでいるものよりも短いのが欠点です。
当院としては、現在、防腐剤を含んでいないものを主に使用しております。
また、アレルギーに限らず、最近特に多いのが高血圧、糖尿病、骨粗しょう症です。
局所麻酔を打つ際の血圧は必ず測定するようにしておりますが、
本人の自覚のない高血圧の方が昨今、非常に多いです。
血圧は大丈夫って言われる方の半数以上が、麻酔を打つのに危険なレベルの高血圧であることが多いです。 また、糖尿病は、感染を起こしやすいですし、
骨粗しょう症の薬剤の中には、骨に対する外科的なことをすると腐骨を作ってしまう薬剤もあります。
患者様の問診時に全身状態、服薬等について伺い、必要があれば、通院中の医院への情報提供書の作成等を行い、患者様それぞれの全身状態に応じて最適の治療をしております。
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